世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)のレビュー

なんだか分かった気になる
おお、これが村上春樹か。
文学のことはよく分からないが、こういうのを文才と呼ぶのか。
一般人にはどう転んでも書けないなー

淡々と、ぼんやりと物語は進んでいく。
キーワードも散らばっているのだが、あえてそれを強調していない。
ファンタジー要素もぜんぜん目立たない。
とても余韻が残る。
ただただ、物語を追うのが楽しい。
そして、本当は全然わかっていないのに、なんだか分かった気になる。
そこに込められた寓話性の、気配を感じて高揚しました。
パラレル。「ハードボイルド・ワンダーランド」より。
「テーマが明確だと融通性が不足するんだ。」

「もう一度読むといいよ。あの本にはいろんなことが書いてある。小説の終りの方でアリョーシャがコーリャ・クラソートキンという若い学生にこう言うんだ。ねえ、コーリャ、君は将来とても不幸な人間になるよ。しかしぜんたいとしては人生を祝福しなさい。」

「人間はだれでも何かひとつくらいは一流になれる素質があるの。それをうまく引き出すことができないだけの話。引き出し方のわからない人間が寄ってたかってそれをつぶしてしまうから、多くの人々は一流になれないのよ。そして、そのまま擦り減ってしまうの。
あなたはちがうわ。あなたには何が特別なものがあるような気がするの。あなたの場合は感情の殻がとても固いから、その中でいろんなものが無傷のまま残っているのよ。」

「つまり、ブラックボックスとは人間の深層心理であるわけですね。」

「そう、そのとおり。こういうことです。人間一人ひとりはそれぞれの原理に基づいて行動しておるです。誰一人として同じ人間はおらん。何というか、要するにアイデンティティーの問題ですな。アイデンティティーとは何か?一人ひとりの人間の過去の体験の記憶の集積によってもたらされた思考システムの独自性のことです。もっと簡単に心と呼んでもよろしい。人それぞれ同じ心というもはひとつとしてない。しかし、人間はその自分の思考システムのほとんどを把握してはおらんです。我々がそれらについてきちんと把握している、あるいは把握していると推察される部分は、全体の15分の1から20分の1というあたりにすぎんのです。」

「私の人生の輝きの93%が前半のの35年間で使い果たされてしまっていたとしても、それでも構わない。
私はその7%を大事に抱えたままこの世界の成り立ち方をどこまでも眺めて行きたいのだ。なぜかはわからないけれど、そうすることが私に与えられた1つの責任であるように私には思えた。私は確かにある時点から私自身の人生や行き方をねじまげるようにして生きてきた。そうするにはそうするなりの理由があったのだ。他の誰にも理解してもらえないにせよ、私はそうしないわけにはいかなかったのだ。しかし、私はこのねじまがったままの人生を置いて消滅してしまいたくはなかった。私にはそれを最後まで見届ける義務があるのだ。そうしなければ私は私自身に対する公正さを見失ってしまうことになる。私はこのまま私の人生を置き去りにしていくわけにはいかないのだ。私の消滅が誰をも悲しませないにせよ、誰の心にも空白をもたらさないにせよ、あるいは、ほとんど誰にも気づかれないにせよ、それは私自身の問題なのだ。

たしかに私はあまりにも多くのものを失ってきた。そしてこれ以上失うべきものは私自身のほかにはもうほとんど何も残っていはいないように思える。しかし、私の中には失われたものの残照がおりのように残っていて、それが私をここまで生きながらえさせてきたのだ。

私はこの世界から消え去りたくはなかった。目を閉じると私は自分の心の揺らぎをはっきりと感じとることができた。それは悲しみや孤独感を超えた、私自身の存在を根底から揺り動かすような深く大きなうねりだった。そのうねりはいつまでもつづいた。私はベンチの背もたれに肘をついて、そのうねりに耐えた。
誰も私を助けてはくれなかった。誰にも私を救うことはできないのだ。
ちょうど私が誰をも救うことができなかったのと同じように。」

静と動
●1回目
高い壁に囲まれ、外界から虐げられた街で織りなされる静寂な幻想世界、“世界の終り”。 意識の核にある思考回路を組み込まれ、回路に隠された秘密を巡って活躍する波瀾万丈の冒険活劇の“ハードボイルド・ワンダーランド”。
この[静]と[動]の物語が同時並行的に展開されています。



「長いあいだ暗闇の中にいると、暗闇というものが本来あるべき正常な状態であって、光の方が不自然な異物のように感じられてくるものなのだ。」


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●2回目

「進化というものはそういうものです。進化は常につらく、そしてさびしい。楽しい進化というものはありえんです」
よく眠れる本
毎日 1ページくらい読んでます(睡眠前に) 面白いとは思うのですが、 なぜか 眠くなってしまうのです。
頭のいい人には すぐにわかる内容なのでしょうが、 言葉をかみしめながら 読む癖のある私は、
読んでるうちに 、とっても眠くなってしまうのです。 
眠れない人には 、 お勧めできるかも 、 それとも私だけかも、 そのときはお許しください。
泣きました…大好きです★
私は個人的にこの計算士の彼が大好きです☆こんな人が実際にいたら絶対ホレちゃいます。物知りで何でもこなしてステキ。そして内容…。言葉でうまく表現できないけど、私を支えるたくさんのことに感謝しなきゃいけないと思わせました。所々で心打たれた。泣いた。他のレビューで何度も読みたいと書かれてる方がいらっしゃいますが、私は逆に怖くて読み返せないです。なにせどっぷり物語に浸かりすぎて、しばらく夢から覚めることができなくなるから…。